年上幼馴染の一途な執着愛
「難しいことあれこれ考える必要ないじゃん。秋野さんが一緒にいたいかいたくないか、それだけでいいじゃん」

「私が、一緒にいたいかいたくないか……」

「うん。想像してみなよ。自分以外の女の人が、彼と一緒に歩いてるところ。自分以外の女の人とデートして、キスしてるところ」


日向が、私以外の女性の隣に立って一緒に歩く……。
私以外の女性とデート?キス?
そんなシーンを想像して、


「────嫌だ」


頭で考えるよりも先に、そう言葉が飛び出していた。


「……嫌です。そんなの、嫌。日向が他の人となんて……絶対嫌です」

「……うん。不安はあるかもしれないけどさ。今はそれだけで、十分だと思わない?」


真山さんの優しい笑顔に、頷く。


「そもそも秋野さんみたいな真面目タイプの人は確かに押しに弱かったり流されやすかったりするけどさ。でも好きじゃない人に抱かれるとか無理だと思うよ。少なくとも抵抗はすると思う。だから秋野さんが彼と寝た時点でもうわかってたことのような気はするけどね」

改めてそう分析されると恥ずかしくて死にそうだ。
確かに、日向だから受け入れたけど、多分他の人だったら思い切り拒絶していたと思う。
そうか、あの頃から私の心は日向に。
いや、もしかしたら気付いていなかっただけで、心の奥底には日向がずっといたのだろうか。


「真山さん、なんかすみません。いろいろ話したらすっきりしてきました。もっとシンプルでいいんですよね。ありがとうございます」

「ううん。気にしないで。私も秋野さんがあの束縛男のこと吹っ切れたみたいで安心したよ。案外良い人って、身近にいるもんだよね」


言われて、今年のおみくじの文字を思い出す。

"身近な人を大切に"


「真山さん。私、神社にお礼参り行くべきですかね?」

「え? 何の話?」

「いや、こっちの話です……」


次に地元に帰ったら、ちゃんとお礼しにいかなきゃ。
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