【完結】養ってやるかぁ!!公園で出逢った無職男子が……まさかまさかの、そのまさか!?
「うん、面白い。あの、コンビニという店に寄っていきませんか? 財布には現金が、まだあるので僕が払います」

 言い方が変だけど、まぁコンビニへは寄って帰ろうとは思っていた。

「無職なのに、いいの? まぁビールくらい買ってもらおっかな」

 酔っ払って、コンビニへ行った。
 雪子がフラフラしているので、支えるように手を握られる。
 無職の箱入り息子疑惑もあるのに、彼は不思議なオーラがあって何故か頼れる雰囲気だ。
 振り払うこともせずに、むしろその手が心地よくて雪子も自然に手を握って店内をまわる。

「これ美味しそう~ムール貝のガーリック」

 冷凍食品を手に取ってカゴに入れる。

「冷凍で?……こんな料理が食べられるんですね……すごい事だ……」

「このワインも飲みたいな」

「ワインが……ワンコインで……?」

 雪子はかなり酔っ払っていたので、男が言う言葉も右から左へ聞いて笑った。
 そして、酒やツマミ、明日のご飯~などとカゴへ入れて……。

「ゴムもいる……?」

 冗談でゴムを指差した。

「あぁ、常備するにはいいと思いますよ。俺もいつも持っています」

「え!? 常に持ってるってこと!?」

「はい」

「……高校生みたいね……まさか親御さんの言いつけ?」

「まぁ、決まりみたいなものですね。ゴム無しセックスをして、子供ができたと言われても困るので」

「ぼえっ!?」

 笑うわけではなく、驚きの声だ。
 コンビニの店員が、チラッと二人を見た。

「な、なんか随分と……誠実そうなのに、本当はヤリチン?」

「いいえ、俺はまだ未経験です」

「ぼえっ!?」

 これも笑うわけではなく、驚きの声だ。
 やっぱり彼は親に管理された箱入り息子なのでは……?
 疑惑が更に深まる。

「では、これで会計でよろしいですか」

「うん~買いすぎたかな」
 
 雪子は、ビールやつまみが入ったカゴをレジに持って行って会計をした。
 男はスマホも財布も置いてきたと、ガサゴソとスーツのポケットから剥き出しの万札を出して支払ってくれた。

「ありがと!」

「いえ、ほら危ない」

 外に出てまた手を繋ぐ。
 酔っ払いに夜風は気持ちがいい。
 防犯意識が低すぎる、なんて事もわかってる。

 でも今は、それでも今の時間が楽しいのだ。
 
「コンビニのビニール袋って持ちにくいですね」

「まさかコンビニで買い物もしたことなかった?」

「はは、そうですね」

「人としての経験がなさすぎない?」

 また、失礼な事を言ってしまった。
 でも彼は微笑んで『そうですね』と言った。
 1DKの質素な部屋に帰って、二人で飲んで……。

 朝には二人でベッドのなか。
 雪子は裸のままで、彼の腕で目を覚ました。

「……やってしまった……」

 
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