花咲くように 微笑んで
第十九章 菜の花畑で微笑んで
年が明けて、新しい一年が始まった。

颯真にとっては年末年始も関係ない。
多忙を極める中、菜乃花がマンションで待ってくれていることもあった。

疲れ果てて帰ってくると、お帰りなさい!と菜乃花が笑顔で出迎えてくれる。
その瞬間、颯真の心はスイッチが切り替わったように明るくなった。

なかなか二人の休みが合わず、デートに行けないまま時間だけが過ぎていく。

菜乃花は、颯真のマンションで一緒に過ごすだけで楽しいと言ってくれ、いつも美味しい食事を作ってくれた。

なんとしてもこの日だけは…と、颯真は菜乃花の誕生日に休みを申請する。

そして小さな箱をジャケットのポケットに忍ばせてから、菜乃花の職場の図書館へと向かった。
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