compact
「行くから待ってて。」
「えっ」

「10分くらい…待てる?」
「待てますっ。」

声がいつもと違う気がした。
きっと私もいつもと違うと思う。

電話を切ってから、
髪をほどいて、パンツスーツを脱いで、
部屋着の、丈の長いワンピースに
軽いストールを羽織った。

さっきまで
履いていたハイヒールを片付けて
ペタンコのパンプスを履いて
携帯と部屋の鍵だけ持って出た。

空は真っ暗で見上げたら
星が少しだけ見えていた。

肩までの髪を気にしながら
なるべく早く歩いていたら、
目が、合った。
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