二人の永遠がこの世界になくても
卒業するし、高校生活の思い出でも振り返ろうと思って、昨日の夜から見ていたんだけど、友達との写真よりも圧倒的に自撮りが多い。

桜と私。
海と私。
手持ち花火と私。
“ハッピーバースデー ヨヅキ”ってチョコペンで描かれたプレートが乗っているケーキと私。

こんな写真、いつ撮ったんだろう。
私はなんでこんなに嬉しそうな表情をしているんだろう。

「なんかに載せようって思ってたの?」

「自撮りなんか載せないよ」

「ふーん。それにしても嬉しそうだけど」

「ほんとに。すごく嬉しそう」

私と親友は顔を見合わせて笑った。
「自暴自棄だったのかな」って茶化した親友の肩を私は思いっきり叩いてやった。

自撮りにしては隣に誰かが居たみたいに空きすぎている余白。
まるで手品で消されたみたいに空っぽだ。

どんなに目を凝らしてみてもそこに何者かが浮かんでくるわけじゃない。
なのにこの気持ちはなんだろう。

確かに胸の奥にあるあたたかさ。
昨日も感じた、誰かに見守られているような心強さ。

もしかしたらずっと昔、この先を「誰よりも幸せ」だって、「やり直せないことなんて無い」って笑って生きていけるように、私に勇気をくれる存在に出逢っていたのかもしれない。
思い出せないくらいにずっと小さい頃に。

そうだったのならもう一度逢えたらいいな。
「あの時の!」なんて思い出せる自信は無いけれど、そこにはほんの少しの懐かしさくらいは見つけ出せるかもしれない。

それにしてもこれは確実に去年の写真で、小さかった頃の私なんかじゃ無い。

やっぱりヤケにでもなってたのかな?
今年は友達と、彼氏なんてできちゃったら彼氏と、沢山の思い出を残せたらいいな。
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