春が追い付く二拍手前。

第十三章 春の気立つを以て也。

 メディアは、篠原社長の話で、一色に染まっていた。

 テレビをつければ、どのチャンネルにも、あの男の顔が現れ、
 新聞を見れば、ほぼどのページにもあの男の顔が現れ、
 週刊誌を広げれば、ほとんどがあの男の顔でページが埋まっており、
 海外の新聞、テレビにさえも、毎日あの男の顔が現れるようになった。

 機械につながれ、
 ただ目を開け、ただ目を閉じるだけの毎日を生きる、屍となったにもかかわらず、
 篠原社長は、自身の希望とは大分と変容した形で、世界のメディアに愛される男となったのである。
 そんな騒ぎの中、私は――
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