愛なき政略結婚は愛のはじまりでした
***

 清隆は鳴海から手渡された資料を目にし、大きく息を吐き出した。

「ようやくすべてが揃ったな。まさかここまでひどいとは……我が母ながら、殺したいほど憎いよ」
「……奥様が妊娠されていなかったことが幸いでした」
「ふっ、皮肉にもな」

 母の非人道的な企みに乾いた笑いがこぼれた。元々母のことは好いていなかったが、ここまで来てはもはや憎しみしかない。少しの情けもかける必要はないだろう。

「人を人とも思っていないようなやつらだ。容赦はしない。明日すべてに決着をつける」
「はい。明日動けるように、滝田(たきた)さんと相談してスケジュールは調整済みです」

 滝田は社長である父の専属秘書だ。今回の騒動には会社のことも大きく関わっているから、父とも協力して調査を進めていた。すべての証拠が揃ったから、明日すべてに片を付ける。これで雅も安心して暮らせるようになるだろう。

 どうにか無事にすべてを終えられそうだと安堵の息をついていれば、清隆の携帯がそれを覆すように震えだした。画面には誠一郎の名前が表示されている。清隆は嫌な予感がして慌ててそれに応答した。
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