彼に抱かれ愛を弾く 〜ベリが丘恋物語〜
俊佑さんの運転する車に乗り、マンションまで帰ってきた。
帰りの車の中は、お互い言葉もなく、彼の好きな洋楽だけが流れているといった状態だった。 

お風呂上がり、私はカモミールティーを淹れた。
先にソファーに腰掛けたいた俊佑さんに、ティーカップを渡す。
私も横に腰掛け、カップに口をつけた。

「やっぱ美味いな。美音が淹れてくれた紅茶、久しぶりだ」

ちゃんと訊いておこう。自分の気持ちを抑えてモヤモヤしたままは嫌だ。
私はそっとカップを置くと、彼と向かい合った。

「俊佑さん、私、あなたがホテルに入って行くところを見ました。どうして家には帰らずホテルに行ったんですか?」

「俺は、逃げていたんだ……」


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