青い空の下、大好きな君の優しい笑顔が見たいから
それから5分くらい経ったか……
ゆっくりとドアが開いて、今度は桜が出てきた。


「プリント、わざわざありがとう。迷惑かけてごめん」


明らかに元気がない。


「桜、少し話せないか? 出れる?」


「……うん」


良かった。
「もう二度と話したくない」って言われたらどうしようかと、ほんの少しだけ不安だったから。


今日、桜のいない教室は、何だかとても寂しくて、授業もまるで集中できなかった。
雨粒が次から次へと落ちる様子をただじっと見つめていたら、たまらなく桜に会いたくなった。


2人で近くの公園のベンチに座る。
雨よけがあるおかげで、ここにいれば濡れることはない。


「大丈夫か?」


「うん、大丈夫だよ」


そのぎこちない笑顔は、いつも無理やり笑おうとして作られる「ニセモノ」の笑顔。


「嘘つき。大丈夫なわけないだろ? 桜の傷は、どんどん広がってるんだろ」


「……」


「俺、病院で春野と話した」
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