青い空の下、大好きな君の優しい笑顔が見たいから
「えっ!!」


「家近いし」


「そ、そうだけど……」


初めてだ。
麻倉君にこんな風に声をかけられたの。今まで挨拶程度は何度もあったけど……


「じゃあ、行こ」


私の背中を押す手のひらの感触にドキッとした。男子に触れられるのが初めてで、麻倉君の手の大きさにすごく驚いた。


「ちょっ、ちょっと待って」


「何?」


「何って……いや、あの……私、用事があるから一緒には帰れないの。ごめん、先に行くね」


私は、逃げるようにその場を離れた。


息が切れるくらいの速さで走って靴箱までたどり着いた。後ろを振り返って麻倉君がいないことを確認する。


「良かった、いない……」


そのまま学校を出てしばらく歩く。
心臓がまだドキドキしてる。体がふわふわして、変な感覚だ。


ふと、頭の中に疑問が浮かんだ。
いったいどうして麻倉君は私に声をかけたのか?
どうして私なんかの背中に触れたのか?って。
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