セレブ御曹司の恋を遠巻きに傍観するはずだったのですが。 ~能面顔の悪役令嬢は、それでも勘違いに気付かない~
15歳 〜嫌なことは断ろう〜
王明学園高等科は、昔ながらの3学期制である。
平常授業が始まった後、私は意外にも、平穏な日々を過ごしていた。
最近は、3年後の大学受験を見据えて、勉強の方もそれなりに頑張っている。
王明学園の高等科の生徒は、学科さえ拘らなければほぼ確実に、王明大学――私大の最高峰と言われる大学――に、進学することができる。それにもかかわらず、私が国立大を受けることを視野に入れている理由は、ひとえに「将来への保険」だ。
今後、もし仮に、ゲーム通りに私が断罪され家が没落することになれば、王明大学への進学はもちろん、私立大学に進学すること自体、経済的に難しくなる。
そのため、いざというときに自力で国公立大へ合格することもできるよう、私は地味に上位の成績をキープし続けているのだ。
人生2回目ということも大きいけれど、「受験に関係する主要科目」に絞ってメリハリのある勉強をしてきたことは、効果的だったと思う。
今回、高等科で初めて受けた模試の成績も、ひそかに会心の出来だった。
成績優秀な外部生が入ってきているにもかかわらず、私はなんと、校内総合順位6位!
あの優奈ちゃんや、和くんよりも上だったのだ。
とはいえ、ここは、ゲームの世界。
彗星のごとく現れた外部生のヒロイン――、愛花ちゃんは。
高等科初の模試で、校内総合順位3位の好成績を見せた。