セレブ御曹司の恋を遠巻きに傍観するはずだったのですが。 ~能面顔の悪役令嬢は、それでも勘違いに気付かない~
15歳 〜文化祭を楽しもう〜
季節は肌寒くなり、もうすぐ文化祭だ。
私は生徒会室に届いたパンフレットをパラパラ見ながら、ため息をついた。
何を隠そう。私は、バンドを組んで演奏するのに憧れている。
バンドのために、アコースティックギターをやってみたいと言ったら、当然、両親は反対するに違いない。
そのため、現在は、クラシックギターを習っているけれど。バンドを組もうという声がかかったことは、今まで、一度もない。
「ため息……。どうかした?」
珍しく、佐々木くんから話しかけてきた。
「ううん。文化祭、楽しそうだなって。」