セレブ御曹司の恋を遠巻きに傍観するはずだったのですが。 ~能面顔の悪役令嬢は、それでも勘違いに気付かない~
「も、百佳ちゃんは、生徒会で、毎日すごい人たちと一緒にいるじゃない?」
「そうね。このチョコをきっかけに、何かあるかもしれないわよ?」

 そ れ は な い。

 既に皆、青春中だし。
 生徒会には、完璧ヒロイン・愛花ちゃんがいるので、そもそも私の出る幕はない。 


――とはいえど。

 瞳ちゃんたちには、いつもこんな風に、フォローばっかりしてもらっている。

 私はむしろ、仲の良い友達が二人とも離れていっちゃうみたいで、ちょっと寂しいのかな。


「瞳ちゃん、優奈ちゃん、いつも優しくしてくれてありがとう。……彼氏や婚約者ができても、仲良くしてくれる?」

 私が言うと。
 瞳ちゃんと優奈ちゃんは顔を見合わせて、ふふっと笑った。

 二人が「もちろん」と頷いてくれたところで、この話はとりあえず終了。

 あとは、木曜日にチョコを作りながら、二人の相手のことを、ゆっくり聞かせてもらおう。

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