セレブ御曹司の恋を遠巻きに傍観するはずだったのですが。 ~能面顔の悪役令嬢は、それでも勘違いに気付かない~
16歳 〜イメチェンをしよう〜
――どこがいいかなあ。
土曜日の午後。
私は、チョコを渡すため、うちの系列ホテル内にある馴染みのカフェにて青石兄を待ちながら、スマホで美容院を検索していた。
たくさんありすぎて、どの美容院が自分に合うのか、全く分からない。
これまでは、母に勧められるままに、母と同じ美容院に通っていた。行き届いたサービスや、ヘッドスパは気に入っていた。
けれど、この度、母と私を長らく担当してくれていた美容師さんが、退職することになってしまった。私はこの機に、美容院を変えることを思い付いたのだ。
何せ、これまで行ってた美容院は、一回行くだけで2万円以上。私以外に、同年代の子が行っているところは、見たことがない。
そのことを青石兄に相談したところ。青石兄の知り合いが経営しているという、若者向きの美容院を紹介してもらえることになった。
なんでも、コンテストで受賞歴があるような、カリスマ美容師さんもいるらしい。どうせなら、ぜひその方にお願いしたいと、予約をとってもらったのだ。
通常なら、かなり先まで予約が埋まっているのだけれど。幸運にも、翌日日曜日のキャンセル空きのところに、入れてもらうことができた。
青石兄は、何気に頼れる友達であった。