セレブ御曹司の恋を遠巻きに傍観するはずだったのですが。 ~能面顔の悪役令嬢は、それでも勘違いに気付かない~

16歳 〜遊園地に行こう〜


 3月。

 生徒会では、年度末にまとめなければならない資料が多いため、この時期は結構忙しい。
 仕方がないので、私も毎日、生徒会室で作業を手伝っている。

 そんなバタバタした日々の、合間の休日。
 なぜか私は、最近オープンしたばかりの遊園地に来ていた。


※※※※


 ことの始まりは、先週のこと。
 生徒会室で、ホワイトデーのお返しは何が良いかという話になったのだ。


 愛花ちゃんは、「お返しとかは、気にしないで下さい。」と遠慮していた。聞くところによると、昨年は高価なお菓子や食事券を貰ったらしい。

 私は、貰えるものなら何でも欲しいけど。私だけお返しをリクエストすると、ガメつく見えるかもと、答えを迷っていた。


 困っている様子の、男子に。
 愛花ちゃんは、「それなら、もし良ければ。皆でお出かけできたら、嬉しいな……。」と言い出した。

 折しも、杵築グループの関係している遊園地がオープンしたと話題になっていたので、トントン拍子に話は決まった。
 当日の費用は全て、男子4人がもってくれるらしい。


――愛花ちゃんは、杵築だけを誘った方がいいんじゃないのかな?


 首を傾げたけれど、もちろん口にはしていない。
 2人でデートできるほどには、まだ関係は進展していないのだと思う。
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