セレブ御曹司の恋を遠巻きに傍観するはずだったのですが。 ~能面顔の悪役令嬢は、それでも勘違いに気付かない~
 昼食を挟んだ後は、フェイシャルエステ。

 顔の骨に圧をかけて小顔矯正を行う、『骨気(コルギ)』という施術は、とにかく痛かった。


――痛い痛い痛い~っ。


 力技の施術の後、『ほら、どうですか』と鏡を見せられた私は、驚いた。
 小顔になっていたからではない。


――能面じゃ、なくなってる!
 

 どういうわけか、表情が動くようになっていた。笑おうと思えば、笑うことができる。
 笑っていないときでも、人間らしい表情の動きがあるだけで、全く印象が違うのだ。


「その顔、どうしたの!」
 ラウンジで待っていた母も、驚きに目を丸くした。

 骨気(コルギ)のおかげかもしれないと。母と私が、興奮して言いあっていると……。

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