セレブ御曹司の恋を遠巻きに傍観するはずだったのですが。 ~能面顔の悪役令嬢は、それでも勘違いに気付かない~
青石兄『あのね。男の家にホイホイ一人で行って、おだてられたからまた行こうかなとか、頭おかしいって言ってるの。』

私『ああ、それなら、違うんです。まず、家と言っても、今はまだ住んでないし、家具もほとんどないんです。』

青石兄『そうじゃなくて。』


私『いえ、言いたいことは分かりますよ。でも、羽村という男は、風紀委員みたいな奴なんです。』

私『私の服装とか行動とかに、小姑みたいにチクチクうるさくてですね。風紀を乱すことは許さないタイプの堅物なんで、そこは絶対安心なんですよ。』


 青石兄は羽村を知らないから、不審に思うのだろう。
 羽村は、虫を虐める行為さえ許さない、潔癖な男なのだ。それも伝えた方が分かりやすいだろうか。


青石兄『バカ娘。もう勝手に、愛人でも何でもなってれば。』

私『ええっ。見捨てないでー!』


 話せば分かるはずなのに。
 文字だけでのコミュニケーションというのは、何だか難しいようです。
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