セレブ御曹司の恋を遠巻きに傍観するはずだったのですが。 ~能面顔の悪役令嬢は、それでも勘違いに気付かない~
17歳 〜カッパドキアに行こう〜
荒涼とした大地。
林立する、見渡す限りの奇岩。
カッパドキアの景色は、あまりに現実感がなく、まるでファンタジーの世界だ。
人工建築物はない。この地域の人々は皆、自然にできた奇岩の中に住んでいるのだ。奇岩の中でも、キノコのような形をしたものは、『妖精の煙突』と呼ばれているらしい。
洞窟の家は、紀元前3000年頃から使われているという。日本の家なんて、築100年も経てばおんぼろなのに、全くスケールが違う話だ。
岩の中に住んでいると聞くと、原始的な生活を想像するけれど。
岩にはそれぞれ、きちんと扉や窓も付いている。中にはキッチンや家具、絨毯なども置かれており、全くもって文明的な生活だ。
私たちは、ガイドのアポさんに連れられて、実際に人が住んでいる、洞窟の家を見学させてもらった。
洞窟の中には、広い場所と狭い場所があり、広い場所では十数人が座って説明を聞くこともできる。
冷蔵庫は、置いていないらしい。冷たい洞窟の中に入れておくと、それだけで、ブドウやパンが何ヶ月ももつという、まさに天然の冷蔵庫なのだ。