セレブ御曹司の恋を遠巻きに傍観するはずだったのですが。 ~能面顔の悪役令嬢は、それでも勘違いに気付かない~
17歳 〜お家に帰ろう〜
トルコ最終日の昼食は、三杉リストにあるちょっと豪華な店でとった。
「これ、美味しー!」
相変わらずニコニコ笑顔の愛花ちゃん。
今日も今日とて、杵築達の班とは行き先が被っていた。店側には、班の違いなど分かるはずもなく、もはや同一団体として扱われている。
「月乃さんの笑顔を見てると、ご飯がもっと美味しく感じるわ。」
愛花ちゃんの友達の、女子の一人が言う。
昨夜も会った彼女はたしか、柳瀬くんと同じ新聞部。ゲームでは、ヒロインに色々な情報を教えてあげる、お助けキャラだったんじゃないだろうか。
「ほんと、うまそうに食べるなー。黒瀬とは正反対。」
和くんは、笑いながら、人を落としてくる。どうせ私は、ご飯をまずくする能面女ですよ。
「……お前は。もう、笑えないのか。」
杵築が、私に聞いてきた。