セレブ御曹司の恋を遠巻きに傍観するはずだったのですが。 ~能面顔の悪役令嬢は、それでも勘違いに気付かない~
8歳 〜パーティに参加しよう〜
8歳の初夏。
私は未だに、韓国ドラマにハマっている。
時代物でも恋愛物でも、記憶喪失、冤罪、取り違え、もはや何でもござれだ。
今日は、初めての本格的な立食パーティー。
私は両親に連れられての挨拶回りを終え、ようやく料理にありついた。
モグモグと口を動かしながら、会場を眺めていると。少し離れた場所で、両親が、ダンディなおじ様と話をしているのが見えた。
――さっき、挨拶をした人だ。
たしか、薬品メーカーの社長で。「今日は息子の誕生日なんですよ。今年から小学生になりまして。」と言っていた。
小さな子どもが正装し、嬉しそうな顔をして横に立っている様子は、とても微笑ましい。