セレブ御曹司の恋を遠巻きに傍観するはずだったのですが。 ~能面顔の悪役令嬢は、それでも勘違いに気付かない~
「――相手の子、まだ子どもじゃない。大地さん可哀そう。」
「たぶん政略結婚よねえ? サッチー、今日、来れないのかなあ。」

 テラスで話をしている女性二人組は、今日のことをあまり祝福していないようだ。


――嫌な感じ。優奈ちゃん達は、相思相愛なのに。


 ちょっと腹が立ったけど、ここで喧嘩でもしたら、これからのパーティが台無しだ。
 私は憤る気持ちを、瞳ちゃんに宥められながら、その場をやり過ごした。

 
 けれど、その後。
 パーティが始まって、フリータイムに入ったときに、事件は起こった。


「ちょっとあれ、サッチーだよ。」
「あのドレス、どういうこと?」
 
 たまたま同じテーブルだった、先ほどの二人組が、会場入り口の方を見て慌てている。

 披露宴の招待客としてはマナー違反きわまりない、白いドレスを着て、こちらに歩いてくる女性は、なんだかフラついていて足取りも覚束ない。
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