セレブ御曹司の恋を遠巻きに傍観するはずだったのですが。 ~能面顔の悪役令嬢は、それでも勘違いに気付かない~
17歳 〜後輩の勉強をみよう~
10月中旬。
私たち3年生は、ほとんど姿を見せることのない生徒会顧問から、至急の呼び出しを受けた。
来てみるとなぜか、1年生の双子の蓮くんと圭くんもいる。
「こいつの勉強をみて欲しい。」
顧問の大畑先生は、短い言葉とともに蓮くんを前に突き出した。
「――はい?」
渡されたのは、蓮くんの、9月に行われた実力テストの成績表。――成績で選ばれたはずの生徒会の一員としては、ありえない点数だった。
「……なんだこれは。」
「この成績で、どうして生徒会に入れたんです?」
思わず唸り声をあげる、杵築と羽村。
「中学までの成績は良かったんだ。高校に入って、いきなり落ちている。しかしこれじゃあ、他の生徒に示しがつかないのは、分かるな。」
顧問の言葉に、誰もが頷いた。
王明学園の生徒会は、生徒の代表であり、象徴だ。もともと成績で選ばれているという前提があるため、成績が落ちることはタブーとされている。