セレブ御曹司の恋を遠巻きに傍観するはずだったのですが。 ~能面顔の悪役令嬢は、それでも勘違いに気付かない~

17歳 〜マンションを見に行こう〜


 中間テストも近付いてきた、土曜日のこと。羽村のマンションの内装が完成したというので、私は呼ばれて見に来た。

 本来なら、とっくの昔に完成しているはずだったのに、羽村が希望する壁材の取り寄せや追加工事等にかなりの時間を要し、ここまで完成がずれ込んでしまったのだ。
 私は特にこだわりがありませんとか言っていたのは、どこのどいつだろう。


 マンションに入る際、きれいな毛並みの大型犬を連れている居住者とすれ違った。

「このマンション、ペット可なんですね。」
「最近の新築は、ペット可が多いですよ。」

 羽村は、機嫌良さそうに犬を眺めていた。潔癖そうな羽村が動物好きだったなんて、何だか意外だ。


「鳴き声とか、うるさくないんですかね?」
「防音がしっかりしてますからね。犬の鳴き声でも大音量のオーディオでも、特に問題はないそうです。」

 へー。マンションなのに、音量を気にしなくてよいのは、良いかもしれない。
 羽村の部屋は、防音にさらにテコ入れをしているから、一層、快適そうだ。

< 535 / 615 >

この作品をシェア

pagetop