セレブ御曹司の恋を遠巻きに傍観するはずだったのですが。 ~能面顔の悪役令嬢は、それでも勘違いに気付かない~
17歳 〜メイド喫茶をしよう2~
さて、文化祭当日。
我がクラスのメイド喫茶は、朝から大盛況だ。特に羽村、三杉、佐々木くんの担当する時間は、事前に口コミで広く知れ渡り、一時は廊下の端まで大行列ができるほど。
仕方がないので、ドリンクが出されてから15分で退席してもらうという制限時間を設けて奮闘し、何とかお客様を回転させていった。
さて、私の担当時間は、生徒会男子の担当時間とずれていたこともあり、客足が少し落ち着いていた。
その反面、杵築、羽村、三杉の三人が、客として来ているので、何だか微妙にやり辛い。
――カラン
ドアが開き、新たに入ってきたお客様を振り返ると、見知った顔――青石兄だった。
「お帰りなさいませ、ご主人様。こちらにどうぞ。」
私が声をかけると、青石兄は軽く目を見開いた。
「驚いた。全然印象違うし。」
それは、自覚がある。