セレブ御曹司の恋を遠巻きに傍観するはずだったのですが。 ~能面顔の悪役令嬢は、それでも勘違いに気付かない~

17歳 〜パーティーに参加しよう〜

 それからの日々は、飛ぶように過ぎた。

 瞳ちゃんや優奈ちゃんとは、今年も、クリスマスのプレゼント交換をした。私が選んだコスメポーチは、大学生になったらお揃いで使おうということに。
 三人で一緒に大学生――、無事にそうなれれば良いなと思う。
 

 杵築は、前に一緒にボートに乗った女子から、ファンクラブメンバーとのクリスマス・ティーパーティーに参加してほしいとの要請を受けて。
 虐め対策の件で協力してくれているファンを無下にもできずに、少しだけ顔を出したのだという。


 それに勇気を得て、羽村、三杉、佐々木くん達のファンも、それぞれ年末年始にお茶会を開き、彼らを招待したのだとか。
 本来、そういうのを嫌がりそうな彼らだけど。愛花ちゃん階段転落事件の際に、自身のファンをコントロールできないことの危険性を感じたのか、申し出を無下にはしなかったという。


「良い一年になりますように。」

 お正月には珍しく、両親が初詣に誘ってくれた。
 おみくじを引く勇気はなくて。私はとにかく、念入りに祈願をした。
 2月下旬には、ゲームの断罪イベントである、卒業パーティーがある。


――できることならば。

 笑って、春を迎えたい。
 そして、瞳ちゃんや優奈ちゃん、生徒会の皆、新しく友達になれたクラスの子たちと一緒に、王明大学に進学したい。
 

 見上げた空は、雲ひとつなく。
 寒さを忘れるほどに、澄んでいた。
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