きっかけ【短編】
第三章 デート
 翌日、ぎりぎりに待ち合わせ場所に行く。


 するとあいつの姿があった。


 正直、こないかもしれないと思っていたのに。

「佐田君」

 その言葉に巧は振り返る。


「巧でいいのに」

「ちゃんと苗字で呼ぶよ」

 そう言うと歩きだす。

 もちろん反発はあった。

 嫌いだって言っていた彼と一緒に歩くことに

 でも、不覚にも
 ずっと憧れていたから

 彼と過ごす時間が
 ただ、楽しかった。
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