きっかけ【短編】
「今度は言えるの? 周りにからかわれて」

 あたしを抱きしめる手に力がこもる。

「言えるよ。今度こそ」

 あのときは子供だったから、仕方ないと思う。

「それなら許してあげる」


 巧の手があたしの頬に触れた。

 彼の手が昔よりも大きくなっていて

 熱くて

 その手が頬を優しく撫でる。



 そして、軽くキスをしてきた。


 あたしの初めてのキス。
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