きっかけ【短編】
第四章 結末
「それでうまくいったんだ。よかった」

 月曜日、朝子に一通り話をした。

 過去に彼から振られたことも含めて。

「実は巧から相談されていたんだよね。
しょっちゅうあんたのことを聞いてくるなら、
それならはっきり告白しろって言ってやったの」

「そうなの? いつから」


「中学校に入ったときかな。
あんたが同じクラスの子に
告白されていたでしょう? 

ちょうどそれくらいから。
誰かにとられるかもって
危機感が出てきたんじゃない?」



 確かにそういうことあった気がする。

 つきあう気がしなくて断ったけど。

「でも、それから三年も経っているのに」

「なかなか勇気が出なかったんじゃない? 
あれで意外と小心者だから」

「朝子」

 あたしと朝子以外の声が聞こえる。
< 20 / 22 >

この作品をシェア

pagetop