Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~
17. 明らかになる過去

「ん、……」

瞼を開けて最初に視界へ飛び込んできたのは、一筋の陽光が差し込む真っ白な天井。

ここ、どこ……?

視線を巡らせて、自分が随分大きなベッドに寝ていることに気づく。
キングサイズ、というヤツだ。

ここ、ホテルよね。
しかも相当ハイグレードな部屋……どうして……

キャビネットやドレッサーetc.……洗練されたデザインの家具を眺めながら上半身を起こしていくうちに、ようやく少しずつ記憶が戻って来た。
そうだ、私クロードさんに口移しで薬を……

サイドテーブルのデジタル時計に目をやると、もうすぐ10時。
まるまる一晩寝ちゃったらしい。

はぁ、あのキスで油断した。
絶対あれ、睡眠薬だ。

服は昨日のものをそのまま着ていることを確認して、ベッドから降り窓辺へ近づく。
カーテンを開けるとスカイツリーが見えたので、どうやら東京にいるらしいとわかり、胸を撫でおろした。

まだ重たい頭を何度か振り、意識をクリアにする。

まったりしてる暇なんかない。
早くクロードさんを探さなきゃ。

私を遠ざけた、ってことは、黒幕との対決が近い、ってことだもの。
彼一人に、そんな危険を冒させるわけにはいかない。

とりあえず、広い室内――リビングルームともう一つベッドルームがあった――を歩き回ってバスルームを見つけ、洗顔だけ済ませる。

それからクローゼットの中にもともと着ていたマフラーとコート、靴とカバンを探し当てると慌ただしくすべてを身に着け、廊下に通じるドアへと向かった。

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