年下ヤンキーをなめちゃいけない理由
「……え……?な、……なんで……」
頭が真っ白になる。
優太が言った短い言葉の意味がわからなくて、私に向けられたものなのかどうかすらわからなくて。
「ずっと、ずっと。……海花が好きだった」
ずっと……って、いつから……。
優太の真剣な瞳から目が逸らせなくなる。
「お前がアイツのこと好きってのは知ってる」
それと同時に、流くんの姿が頭に浮かぶ。
そして、流くんと一緒に帰っている時、何度も優太がわざとらしく間に入ってきたのも。
優太のジャージを借りて、そのまま流くんと会った時、言ってた言葉の意味も。
今までの優太の言葉と行動の全てが、辻褄が合った気がして。
ドクン、と大きく心臓がひと鳴りした。
「___海花、一回だけでいいから、俺のこと、ちゃんと見てほしい」
「っ、え……?」
「幼馴染でも、友達でもなくて。……一人の男として、俺のこと意識してほしい」
い、異性として……意識……。
それって、流くんと話した時に胸が苦しくなったり、目が合ったらドキドキしたり、一緒にいたら触れたいって思ったり……そういうこと……?
「でも……私、流くんと付き___」
「わかってる」
優太は、私の言葉を低い声で遮る。
「一度くらい……頼むから」
優太がなんだか泣き出してしまいそうに見えた。
___でも。
「私は、流くんが好き」
「っ、」
「優太のことは好きだけど……それは、幼馴染として……」
優太には、今までたくさん助けられたし、出会えて良かったと思うことだってある。
それでも、私にとって優太は、大好きな"幼馴染"。
それ以上でも、以下でもない……。
だから___
「ごめんなさい」
完全下校時間を知らせるチャイムが、校舎内に鳴り響いた___。