その生徒会、取扱注意につき!
第7話❥体育科の目的
扉の前に立つ南翔くんを視界にとらえた私はゴクリと息を呑む。
体育科は黒涼祭に参加しないんじゃなかったの?
突然の出来事にいまだに頭が追いつかない。
「え、誰だろ?」
「特進科の人かな?てか、あの真ん中の男の子めちゃくちゃカッコいいね〜」
その時、ヒソヒソと私の背後で話している白浪女学院の生徒達の存在をを思い出しハッとした。
ここで生徒会長の私が取り乱せば、皆も不安がってしまう。……私が冷静にならないと。
「立栞」
「……会長」
南翔くんの正体を知っている有紗と美心が、少し表情を強張らせ、私の名前を小さく呟いた。
そんな彼女達に向かって「大丈夫よ、落ち着いて」と言うように目配せをする。
「急に来るからビックリしたよ。南翔くん、今日は黒涼祭には参加しないのかと思ってた……。それで私に何か用事?」
ゆっくりと彼に視線を合わせ、普段通りの口調で問いかける。
「いや、俺もせっかくのお祭りだし、参加しないとなぁって思い立ってさ。それに、白浪女学院の生徒の皆さんがきてくれるって言うじゃん?俺等なりに、おもてなししないとと思って」
ゾクッ。
とろけてしまうような甘い笑顔のはずなのに、なぜか背筋に寒気を感じる。
その瞬間、南翔くんの後ろに控えている体育科の生徒達がニヤニヤと不敵な笑みを浮かべているのがわかった。
……体育科が何か良からぬことを考えているのかもしれない。
私の中でピリッと緊張がはしった。