時を刻まなくなった時計

第2話 貴女への文

 つらつらと書き連ねられる、文字は季節折々、異なる紙に在った。

『今日は、春らしく暖かい陽気ですね。桜の木も満開です。これを貴女と見られたら良かったのですが……。』

 便箋の桜色は庭に咲いている桜の花弁の色を落とし込んだように柔らかなものだった。

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