迷宮階段
危険

 エイミとグリーンのふたりと過ごす時間は楽しくてあっという間に夜になっていた。
「この後どうする?」

 エイミの言葉に焦りが生まれる。
 またあの家に戻らないといけない。リビングで寝ているお母さんを見て絶望的な気分にならなきゃいけない。あの、ジメジメとした布団で寝なきゃいけない。

 そう思うと帰りたくなかった。
 そんな気持ちが通じたのか、グリーンが私の顔を覗き込んできた。

「もしかして、帰りたくないとか?」
 図星をつかれて「まぁ……ね」と、苦笑いを浮かべる。

 深く理由を聞かれるかと思ったが、ふたりはそれ以上なにも聞いてこなかった。
「それじゃあさ、今日は私達の友達の家に泊まらない?」

 エイミからの提案に「友達?」と聞き返す。
「うん。私達も家に帰りたくないときによく泊めてもらってんの。アパート暮らしなんだけど、ここからも近いし」

 エイミはそう言いながらスマホを操作して誰かと連絡を取り合っている。
「本人は大丈夫だって言ってるけど、どうする?」
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