《番外編》妹に彼氏を寝取られ傷心していた地味女の私がナンパしてきた年下イケメンと一夜を共にしたら、驚く程に甘い溺愛が待っていました
独り占めしたい
「ねぇ百瀬くん、これどうかな?」

 日曜日の午後、俺がリビングでテレビを観ながら寛いでいると出掛ける準備を終えて部屋へとやって来た亜夢がひょっこり顔を出す。

 基本いつも髪を下ろしている亜夢が今日は髪を一つに束ね、上の方へ上げていた。

「昨日先輩と映画を観に行った帰りに寄ったお店で可愛い髪留めが売ってたから買ったの。久しぶりにアップにしてみたけど……どうかな? 似合う? でも、やっぱりちょっと子供っぽいかな?」

 そう言って髪に付けている花が付いた髪留めを見せてくる。

 髪留めも可愛いし、いつもと違う髪型も可愛い。

 亜夢はどちらかと言うと少し童顔寄りだから子供っぽく見える事もあるけど、今みたいに髪を上げていると首筋やうなじが露わになって、いつになく大人っぽく見えるもの。

「…………」
「……百瀬くん?」

 そんな彼女に見蕩れ、何も答えない俺を不思議に思った亜夢がこちらを振り返るタイミングで、

「えっ……百瀬くん!?」

 彼女の腕を引いて自身の方へ引き寄せ、いきなりの事に驚いている亜夢をよそに、無言で首筋へと口付けた。

「……ッん、……も、もせ、くん?」

 何か言いた気な亜夢をよそに何度か首筋に口付けた俺は、

「や……っん……!」

 それでも飽き足らず今度は唇を塞ぐ。

「……ッん、ふ……っあ、」

 何度か角度を変えながらのキスをした後、すっかり力の抜けてしまった亜夢を解放した。

「……百瀬、くん……?」

 キスだけで蕩けた表情になった亜夢が可愛くて髪を撫でながら、

「……それ、似合ってるけど……やっぱり髪は下ろしたほうがいいと思うな。そうじゃないと、見えるからさ」

 口角を上げて意味あり気に微笑みながらそんな台詞を口にする。

「…………?」

 けど、俺の言葉を聞いても何の事か分からず首を傾げる亜夢。

 そんな彼女を見かねた俺が自分の首筋を指差して見せると、

「!」

 それを見た亜夢は何かに気付き、俺から離れて急いで洗面所へ向かって行く。

 そして、水を出す音やドライヤーを使う音が聞こえてきてから少しして、再び戻って来た亜夢はいつも通りの髪型だった。

「……百瀬くんの、意地悪……」

 頬を紅く染めながら少しだけ恨めしそうに亜夢が呟く。

「さっきの髪型も可愛いけど、出掛ける時はそれが一番良いと思うよ?」

 可愛い格好や髪型は嬉しいけど、街に出て他の男に見られるのは面白くない。

 ああいう可愛い姿は俺の前だけでして欲しいと思うのは我侭なのかもしれないし、子供っぽいのかもしれないけど、独り占めしたい思いはやっぱり譲れないと思った。


-END-
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