溺れるように愛して
005:forceful love
時に、ちょっとした強引さは必要だと思うんだ。
誰も傷付けないような強引さならわたしは許されると思っている。

そんな強引さが招いたお話。力強い、お話。


「ねぇ天音」
「ん?」


実験室へと移動中。

片手に教科書やノートなどを手にしては紗子と肩を並べて歩いていた。


「夏目くんとはどうなの?最近」


唐突というか、何の前触れもなく、昨日の晩御飯から急展開を見せた話題に思わず目をむき出しにする。

驚いたわたしに「別にそんな顔しなくても」と呆れた彼女は「ちょっとね、」と言葉を付け足す。


「好きな人が夏目くんだったって話から、天音あんまり話をしてこなくなったから」
「え……そうだっけ」
「あれだけ一方的に聞かされてたのに、なんなら毎日のように聞かされてたのに、最近はめっきり減ったでしょ」


紗子の指摘通り、あまり夏目くんの話題はしなくなった。

相手を伏せている時と、名指しするようになってからでは、なんだか話しやすさの度合いが違う。

しかも同じクラスメイトなのだから、あまりオープンに出来るような間柄でもない。


ましてや放課後、家を行ったりしてるなんてことは口が裂けても言えない。
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