溺れるように愛して
―――わたしは、

こんな話のとき、どんな感情を抱くのが正解なんだろうか。



夏目くんが好きだ。でも、好きが言えない。

日常会話の中でも、彼の名前を口には出来ない。

付き合ってもないのに、することはしてる。

これでわたしは幸せだと言えるんだろうか。



本当は今すぐにでも扉を開けて「告白はやめて」と言いたい。こんな感情がある自分はとても醜い。付き合ってないのに独占欲の塊だ。

彼の隣りに当たり前のようにいられたら、そう思うのに、それは一向に叶いそうにない。


何を思ってるのか知りたい。何を考えているのか―――


「「俺、花咲さんには嫉妬するから」」



この前の夏目くんの言葉を思い出すと、全身の血が一気に駆け巡るように流れていく。

心拍が上昇して、頬が紅潮する。

嬉しかった。嘘でもそんなことを言ってくれて。でも、その続きはなかった。
< 99 / 239 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop