月ノ蝶、赤縄を結ぶ
 その顔にはもう、憂色は見えない。



「知ってる。言ってみただけ」

「もう!」



 恥ずかしさを誤魔化すためにペちっと肩を叩くと、その手を掴まれ恋人繋ぎにされた。

 手の大きさの違いがよく分かって胸が高鳴る。

 紅くんは伏し目がちにおでこ同士をこつんと合わせた。



「さっきの言葉本当に嬉しかった。ありがと、茜。大好きだよ」

「私も紅くん大好き」



 紅くんもその瞳の中に映る私も、愛に満ちて笑っている。

 それからどちらからともなく唇を重ねた。
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