月ノ蝶、赤縄を結ぶ

 私のワガママに付き合ってくれてありがとう、紅くん。



「茜が18歳になったら迎えに行くからね」

「うん。待ってる」



『迎えに行く』だなんて、懐かしい響き。

 まるで昔に戻ったみたいだね。


 紅くんが端正な顔が鼻先が当たるほど近くにきた。

 甘い言葉を紡ぐ口がそっと開かれる。



「茜、愛してるよ」



 心臓が大きくはねた。

 胸の奥から愛おしさが込み上げてくる。



「私も紅くんのこと愛してるよ」



 告げると同時にキスが降ってきた。


 こうして私たちは、また離れることを選んだ。

 私たちの未来のために。
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