悪魔と涙と甘い恋。
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「頑張れ」


虐げられたあたしにとって、優しくされればその人が特別な存在になるわけで。


神楽さんを好きになるのに時間なんていらなかった。


例えあたしに向ける優しさが、組長に与えられた任務だとしても。







ピピピピピ───……


眠たい目を擦りながら、パチンと目覚まし時計を止める。


06:00と表示されている目覚まし時計を眺め、ぼんやりと昨日のことを思い出す。




『これやるよ。明日から姐さんの手伝いするんだろ?』


そう言って、神楽さんはあたしにデジタル時計をくれた。


『羽瑠が前に進もうとしてる祝い。頑張れよ』


ポンッとあたしの頭に乗る神楽さんの手が優しくて……あの時、実はドキドキしていた。



この時計、昨日買ったのかな。

とか、

何を考えながら買ったのかな。

って考えると、胸がキュンとして、頭の中が神楽さんでいっぱいになる。


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