悪魔と涙と甘い恋。

って。羽瑠の事は今はどうでもいいんだよ。


そろそろ行かねぇと。



廊下を渡り、和テイストの客室に行く。

全部閉め切っているせいか、マジでサウナ状態。

一瞬にして額に汗が浮かぶ。



「暑……」


組長が来るまでに冷やしておくか。


エアコンのスイッチを入れ、とりあえず腰を下ろそうとしたら。

襖が開く音がした。



「は?」


目の前にいる人物に思わず声が漏れた。


「なんっ……」


“何でお嬢が?”って言おうとして、言葉を飲み込む。


「組長は?」

「……」

「……」


何だ、この沈黙。

……ダメだ。部屋から出よう。


そう思って襖を開けようとしたら。



───ガッ


は?

開かねぇ。


何度やってもガタガタ音を立てるだけで、全然開いてくれない。


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