悪魔と涙と甘い恋。
あたしが取り損ねた花束は、無惨にも地面に貼り付き、ボロボロになった花びらは風で宙を舞う。
それ以降のことはもう、あたしの中に入ってこなかった。
他人事のように意識がどこか遠いところにいく。
あたしの前にいる神楽さん。
激しいぶつかり合いに負けることはなかったけど……じわじわと広がっていく赤黒いそれに、視点が合わなくなって。
クラクラと目眩がしたんだ。
後のことは記憶がない。
どうやって家まで帰ったのか、どの道を通ったのか。
だけど、気付いたら神楽さんと一緒に桜夜組の玄関にいたんだ。