悪魔と涙と甘い恋。

無意識に唇の方に視線が行っちゃって。

大人なキスを思い出して顔がボッと一気に熱くなる。



あの時ペロリと舐めた神楽さんの舌が、やけに色っぽくて、それがあたしの……と思うとキャパオーバーで目の前がぐるぐるしてきた。



なのに神楽さんは意地悪そうにニヤリと笑ってあたしを揶揄うんだ。


「何思い出してんの?」

「な、何も思い出してません……!」


そうムキになれば神楽さんはクスクスと小さく笑い。


「可愛いな、羽瑠は」


と、爆弾を落としてくる。



嬉しくてギュッと抱きしめると、頭を撫でてくれる。


それだけですごく幸せで温かい気持ちになるんだ。



神楽さん大好き。

あたし……今、すごく幸せだよ。






   ♢♦︎♢♦︎♢



あたしも神楽さんも言いふらすタイプじゃない。

だから、あたし達が付き合ってるのはほんのごく一部しか知らないわけで。


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