悪魔と涙と甘い恋。

「ごちそうさまでした……」

「ん。じゃあ片付けるか」


神楽さんに続いてあたしも一緒になって立ち上がる。


最近になって少しだけ部屋から出られるようになった。

出られるって言っても、あたしの部屋から台所までの道のりだけ。


怖くないって言ったら嘘になるけど、神楽さん1人に片付けをさせるのはものすごく申し訳ないんだもん。

これくらい大丈夫。


……たぶん。



台所に向かう廊下。

神楽さんの隣で、もしかしたら誰か来るんじゃないかと思ってキョロキョロと見渡す。


「そんなに警戒しなくても大丈夫だよ」


フッと鼻で笑う神楽さんに恥ずかしくなって。

うぅ……。


逃げるように目の前にあるお皿を見つめた。



それほど遠くない台所に着いて、流し台にいる桜夜組の人にお皿等を渡した。


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