籠の中の鳥 〜囚われの姫と副総長〜
傷痕 ― scar ―
次の日。

わたしは起きて身支度をすると、玲の部屋へと向かった。


あのあと、本当はそばで看病したかった。

でも、目覚めた玲がもう大丈夫と言って、わたしを部屋へと返した。


そうと言われたって玲のことが心配で、昨日はなかなか寝付けなかった。



…コンコンッ


「玲、体調…どう?」


起こしても悪いから、小声で静かにドアを開ける。

ドアから顔を出すようにしてゆっくりと玲のベッドに目をやると、わたしはそこで息を呑んだ。


なんと、ベッドからサイドテーブルにかけて手を伸ばした玲が、うつ伏せての状態で動かなくなっているのを見つけた。


「玲…!!」


すぐさま玲のもとへ向かう。


「…玲!どうしたの…!?しっかりして…!」


わたしが抱き起こすと、玲にかすかな反応が見られた。
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