籠の中の鳥 〜囚われの姫と副総長〜
わたしの宝物だ。


しかし、さっきチョーカーを引きちぎろうとしたときに、誤ってネックレスのチェーンにも指をかけてしまっていたようで、こっちが切れてしまったのだった。


ずっと前から、わたしのそばにいてくれたのに――。


「…ごめんね。乱暴にするつもりじゃなかったのに…」


わたしはそうつぶやきながら、指輪を握りしめた手をそっと胸にあてた。


そういえば、ここへきてチョーカーをつけられたとき、裕一くんにこんなことも言われたっけ…。


『ボク、ずっと思ってたんすけど…。“これ”、外したほうがよくないっすか?』

『なんかバランス悪いなって、前から気になってたんです。チョーカーは外せないので、このネックレスなら外してもいいんじゃ――』


だけど、わたしは絶対に外そうとはしなかった。


『…触らないで!』
< 345 / 440 >

この作品をシェア

pagetop