50円玉に、願いを込めて。
【05.】50円玉に、願いを込めて。



「...............やっと着いたな、」

「............うん。長かった、」



長い長い行列、
やっと私たちの順番が近づいてきた。



ここで1つ、思うことがある。



手を繋いでいるからかもしれないけど。



「2人って、落ち着かないね、」



もう、賽銭箱が見える場所でそう口にした。



「........................、」

「........................、」



ほんの少しの沈黙が流れたあと...............



「............俺は何気に浮かれてるよ」



そう、ゆっくり口にした善利くん。



善利くんの言葉が気になって、
〝浮かれてるって?〟そう尋ねようとした時。



「あ、もうお参りできるな」



............タイミング悪く私たちの順番が来た。


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