隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。
 朔耶は軽く手を挙げると、他の人たちと一緒に昇降口に吸い込まれていった。

 なんだか心が浄化されたようだった。

 どっかの誰かと違ってシャイな朔耶、可愛いなぁ。 癒される~……。


 
「今の誰」

「ひゃっ!?」


 突然、頭の上にズシッと重み。

 いつの間にか教室の中に戻っていたらしい優成が、わたしの頭を肘置きのようにして腕をのせ、横から寄りかかってくる。


「いまの爽やかくん。 どういう関係?」

「どういうって、サッカー部の子だよ……って重っ、重い!」


 わたしの抗議に腕をどけてくれたかと思えば、今度は背後から頭の上に自分の顎をのせてくる。 だから、彼氏の距離感なんだって。


「彼氏候補?」

「えっ?」

「サッカー部の彼氏欲しいんでしょ」

「あ、あー、まぁ……」


 サッカー部の彼氏が欲しいなんて考えはとっくになくなっていたから濁った返事をしてしまうと、今度は後ろからわたしの顔を覗き込んでじっと見つめてくる真顔の優成。


「っ、な……なに……?」


 イケメンの顔圧、すごい。


「……ふ」


 しばらくして優成は、目を愉快げに歪めて鼻で笑った。


「いいんじゃない? 初めて同士のピュア恋って感じで」

「……えっ」


 優成はかたまるわたしを残して、また端ではしゃいでる男子たちの元へ行ってしまう。


「……は!?」


 なんかわかんないけど、バカにされた……!!



 
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