隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。
「あっ。ひまりーん!あとで今日撮った動画編集してTikTikにあげるね~」

「あーミウちゃん!やったー!楽しみ~!」

 
 美紗ちゃん曰く、『愛嬌だけは無駄にある』。

 おかげさまで友達は多い方だと思う。

 体も健康で、私の人生は何不自由なく家族、友達ともに良好・順風満帆。

 これまで平和に、幸せに暮らしてきた。
 

 ……彼に再会するまでは。


 電車のドアが閉まり、ゆっくりと動き出したところで美紗ちゃんが、スマホでパズルゲームをプレイしながらおもむろに口を開いた。


「ひまりさぁ。ずっと酒々井くんのこと気にしてるけど、好きなの?」


 急に酒々井優成の話題を振られて心臓がピョンと跳ねた。


「!? 違うよ! 逆だよ!」

「逆? 嫌いってこと?」

「きら……」


 嫌い?


「いや、そういうわけでは……」

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