隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。
 ほんとは今日、ずっと心細かった。

 マネ希望の二人が帰っちゃって、わからない仕事に追われながらまりか先輩も上級生も冷たくて、世界で一人ぼっちになっちゃったような感覚に陥っていた。
 でも、そうじゃなかったんだ。 一年の男子たちはそんなふうに思ってくれていたんだ。

 思い返せば一年生たちはどこか心配そうにしてくれてた気がして、胸が熱くなる。


「今日越谷さんがいっぱい走り回って頑張ってるの見て、俺も元気もらったから……ありが、とう」


 途中で恥ずかしくなったのかだんだんと口籠っていった船橋くんは、赤くなった頬を隠すように口元を片手で覆って目を逸らした。


「明日は……手伝うんで」


 船橋くんはそれだけ言って軽く頭を下げると、部室を後にした。

 ……船橋くん、なんていい子なんだ。 船橋くんのたどたどしい『ありがとう』に、黒く煤汚れた心が洗われるようだった。 ちゃんと役に立ててたんだってわかったら、やる気がみなぎってくる。

 よし、わたしも船橋くんを見習って、いつか敏腕マネージャーって言ってもらえるように前向きに頑張るぞー!
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