君と奏でる世界は、虹色に輝いている。
STAGE 1

#Introduction



静寂に包まれた空間。

ステージの中央に立ち、スポットライトを浴びる。

ピアノの音色が優しく響く。

目を閉じて、呼吸を整えて、歌い出す。

歌い出しは、優しく包み込むように。

ピアノとアコースティックギターの柔らかい音に合わせて、そっと囁くように音と言葉を紡ぐ。

サビは、軽やかに弾むように。

バンドの音が加わって、アップテンポになる。

指を鳴らして、足踏みして、リズムに合わせて体を揺らす。

自然と会場から手拍子が起こる。

会場に一体感が生まれる、この瞬間が好き。

「今日はありがとうございました」

そう言って深く一礼すると、場内が大きな拍手で包まれた。

客席に手を振って、ステージ袖でもう一度礼をしてステージを降りる。

これで、今日のコンサートは終了。

無事に終わった安心感と、終わってしまったという寂しさ。

良い歌が歌えたという充実感と、心地よい疲労感。

そんな色んな気持ちが混ざり合う中、まだ鳴りやまない会場の拍手を聞いてもう一度ステージに向かい、アンコールに応えて大切な歌を歌った。

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